自社のホームページで業界動向を紹介したいとき、他社メディアの記事やブログに触れることがあります。たとえば、「○○新聞の記事に、当社が取り組む分野の最新動向が紹介されていたので、ホームページでも紹介したい」というようなケースです。
このとき選択肢として浮かぶのが、「リンク」か「転載」か。
しかし、この2つには大きな違いがあり、扱い方を間違えると、思わぬトラブルにつながることがあります。
まず、「リンク」は、他社のWebページのURLを自社サイト上に掲載する行為。
たとえば、「○○新聞(2025年8月1日)」という表記とともに、該当記事のURLを紹介するようなケースです。このようなリンクは、基本的には著作権に抵触せず、自由に行うことができます。
ただし注意したいのは、リンクの「見せ方」。リンク先を自社ページ内にフレーム表示したり、他社の情報をあたかも自社の一部のように見せたりするような表示は避けるべきです。また、有料記事や会員限定記事に直接リンクするのもマナー違反とされることがあります。必ず「出典」や「外部サイトへのリンクである」ことを明記し、正しく紹介することが大切です。
情報を転載する
一方、「転載」は、他社の記事の本文や画像などをそのまま自社のサイトに掲載する行為を指します。たとえば、「○○新聞に掲載されていた内容を自社のニュース欄にそのまま全文載せる」といったケース。これは著作権の対象となる「著作物」を利用する行為であり、原則として著作権者の許諾が必要です。
よくある誤解に「出典を明記していれば大丈夫」「非営利目的だから問題ない」というものがありますが、これは間違いです。著作物の無断転載は、目的や規模を問わず、法的リスクを伴います。
では一切使えないのかというと、そうではありません。たとえば、業界紙の記事の一文を自社の意見とともに紹介し、「○○新聞では“○○業界の人手不足が深刻化している”と伝えています。当社でも同様の声をお客様から伺うことが増えてきました。」といったように、自社の情報が主で、他社記事を補足的に引用する形であれば、「引用」として認められる可能性があります。ただし、出典の明記や、必要最小限の引用範囲にとどめることが条件です。
企業サイトの運用では、信用が何よりも大切です。
「ちょっと紹介したいな」というときこそ、著作権と向き合う姿勢が問われます。情報を正しく扱い、安心して紹介できるホームページ運営を心がけたいものです。