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変わってしまったメディア勢力図

近年、日本のメディア業界ではインターネットの存在感が急速に高まっています。特に広告市場において、その傾向は顕著です。2023年のデータによれば、インターネット広告費は3兆3,330億円に達し、マスコミ四媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の合計広告費2兆3,161億円を大きく上回っています。

このような変化は、国民の情報収集手段の多様化と深く関係しています。総務省の調査では、2021年以降、全年代平均でネットの利用時間がテレビの視聴時間を上回るようになり、その傾向は年々強まっています。特に注目すべきは、実際に投票に足を運ぶ年代層と、ネットを長時間利用する年代層が重なってきているという点です。

2024年11月に行われた兵庫県知事選挙では、SNSや動画サイトが有権者の投票行動に大きな影響を与えたことが明らかになりました。NHKの出口調査によると、投票の際にSNSや動画サイトを最も参考にしたと答えた人の割合が、新聞やテレビを上回りました。さらに、SNS・動画サイトを最も参考にした人の7割が、「投票先を変えるに至った」もしくは「投票先を決める上で重要な要素になった」と回答しています。

また、テレビタレントのスキャンダル報道においても、インターネットメディアの影響力が増しています。既存メディアが報道を控えた場合でも、SNSや動画サイトで情報が拡散され、スポンサー企業が対応を迫られるケースが増加しています。これにより、タレントのイメージダウンやスポンサー契約解除といった事態が生じています。

これからのビジネスにおいては、既存メディアよりインターネットの活用が販促活動の中心となるでしょう。しかし、ネット上では誤情報や悪意のある投稿が瞬時に拡散され、企業の評判に影響を及ぼす可能性があります。そのため、風評被害を未然に防ぐためのモニタリングや、万が一被害が発生した際の迅速な対応も求められます。

この表は、電通が発表した「2023年 日本の広告費」に基づいています。

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