朝日新聞の一連の記事の取り消しは、メディア業界最大の事件といっても過言ではありません。立場がどうかということは別にして、事実を基本にして書かれていない、その事実を確固たる検証をしない、さらに間違いがあったことを直ちに認めないというのは、全くあってはならないことです。朝日新聞が日本のメディアを代表するビッグプレイヤーということで影響は、一新聞社にとどまらず、日本のジャーナリズム自体の自殺行為ともいえます。
近年、新聞の購読部数は漸減し、広告収入も主要メディア2位の座から滑り落ちてしまいました。取って代わったのはインターネットメディアです。すでに、スマホやタブレットがあれば、新聞なんか必要ないという方もあるかと思います。今回の事件はその傾向をさらに加速させることになるでしょう。
ただし、考えてみると私たちがインターネットで入手するのはキュレーションやバイラルメディア経由の情報がほとんどで、結局元のニュースは新聞やテレビです。テレビは、新聞社系列でニュースを手に入れてるわけですから、こちらも新聞が元ネタであると言えます。
一方、キュレーションやバイラルメディアはこういったニュースをユーザーにわかりやすく整理し、目につきやすくしただけのものです。結局は、弱体化、金属疲労したとはいえ新聞がある程度の信頼度をもって利用され、それを元にしないとインターネットメディアも成り立たないということです。
だからこそ、今回の朝日新聞の件は残念では済まされないくらい悩ましい話です。既存メディアが崩れ去った後には、本当にカオスな情報の乱立が残るだけではないのでしょうか。